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交通事故の慰謝料請求は同乗者もできるのか

同乗者
成田 翼 弁護士
弁護士法人 エース
代表弁護士成田 翼
所属弁護士会第一東京弁護士会

車に同乗させてもらっている時に交通事故が起きた場合,同乗者は誰に損害賠償請求できるのでしょうか。結論を先にいえば,事故の過失が誰にあるのかによって変わってきます。事故の相手と同乗運転者の両方か,そのどちらか一方です。

ただし運転者と同乗者との関係性(家族や好意同乗減額という考え方)によって減額される可能性があります。また同乗者に過失がある場合は,同乗者が損害賠償請求できなかったり,請求できても減額されるたりすることがあります。

同乗者の損害賠償請求先は事故の相手と運転者

同乗者の損害賠償請求先は自己の相手と運転者

交通事故の発生により車の同乗者が死傷した場合事故の相手と,乗せてくれた運転者に対して慰謝料含む損害賠償請求が可能です。ただし事故の過失が誰にあるのかによって請求相手は変わります。 なお,ここでの同乗者はタクシー・バスの利用者も含みます。

損害賠償請求するときは,医師が完治またはこれ以上の治療の意味はないと判断するまで通院します。怪我をしたにもかかわらず,病院に行かなかった場合は,慰謝料請求の根拠がなくなっていまいます。

また,慰謝料の額は通院や入院の日数によって変わります。あとで証明できるよう,通院や薬の領収書・明細書はとっておくようにします。

事故の相手と運転者双方に過失がある場合

事故捜査により事故の過失・責任が,事故の相手と運転者双方にあると判明した場合同乗者はその双方に損害賠償を請求できます。事故の相手と運転者ともに不法行為者であり,被害者である同乗者は治療費・慰謝料を賠償請求できます。この場合の自賠責保険金の支払限度額は2契約分になります。

例えば,自賠責保険の傷害部分の賠償(治療費,休業損害,入通院慰謝料など)は120万円までと限度がありますが,この場合には240万円まで自賠責を使うことができるということです。また,後遺障害について14級認定がされたうような場合でも,通常は自賠責保険金は75万円ですが,上記のような場合には150万円まで自賠責保険によって補償されることになります。

乗せてくれた運転者に過失がない場合

こちらが信号を守って運転していたのに,相手が赤信号で一方的に突っ込んできたなど,事故の相手に過失,事故の原因がある場合相手方のみに損害賠償請求できます。乗せてくれた運転者にはできません。

なお,車に乗せてくれた運転者の任意保険会社から,搭乗者傷害保険という保険金が支払われる可能性があります。搭乗者傷害保険は,交通事故が起こった際,当該契約自動車に乗車していた人が死傷した場合に支払われる保険です。賠償請求相手や示談交渉とも関係なく支払われます。金額は保険内容によりますが,入院1日いくら通院1日いくらと勘定して支払われます。

他にも,人身傷害保険が使える可能性もあります。

事故の相手に過失がない,または単独事故の場合

乗せてくれた運転者に過失,事故の原因がある場合運転者のみに損害賠償請求できます。単独事故の場合も同様です。

もっとも,同乗者と運転者が親・子・配偶者といった家族である場合は,対人賠償責任保険は,免責条項により適用外となります。家族への賠償請求は現実的でない場合があります。

人身傷害保険特約が付帯していると続柄に関係なく補償対象となります。

共同不法行為者に優先順はないため資力のある方に損害賠償を求める

共同不法行為者に優先順なし資料のある方に

乗せてくれた運転者と事故の相手双方に損害賠償義務がある場合,それぞれの責任の優先順や負担割合が問題になります。

交通事故で,事故の相手と乗せてくれた運転者の双方に不法行為が成立する場合,両者は共同不法行為者となります。共同不法行為者には同じだけの責任が発生し,優先順はありません。共同不法行為者の一人が被害者である同乗者に,もう一方の不法行為者に先に請求すべきだ,と抗弁することはできません。被害者である同乗者に対しては負担割合もありません。どちらも全額の支払義務を負います。どちらか一方から全額の支払いを受けてもよいし,双方合わせて全額の支払いを受けてもよいのです。

そこで事故の相手か乗せてくれた運転者か,どちらか資力のあるほうや請求しやすいほうに損害賠償を求めるとよいでしょう。

ただし,運転者が家族であるため対人賠償責任保険が適用されない場合などには,家計を同じにしている家族に対して損害賠償請求をしてもあまり意味がありません。

たとえ事故の相手の資力が低くても事故の相手本人に請求するほうがよいでしょう。

賠償請求は保険の適用される者,資力のある者に対しておこなう

賠償金請求先として大事なポイントは,対人賠償責任保険などの自動車保険が適用されるかどうかです。事故の相手か運転者のどちらかが無保険の場合,必ず自動車保険が適用される方に損害賠償請求を行います。

例えば事故の相手が無保険で,乗せてくれた運転者が自動車保険に加入していた場合には,乗せてくれた運転者の自動車保険に請求すべきです。被害者として救済を受けなければいけませんから,保険で払えるということを優先するべきでしょう。このようなケースだと,相手が支払いをせずに逃げてしまったり,示談が難航したり,ないものは払えないなど居直られたりする可能性があるからです。相手が保険会社の場合は示談には応じますし,額が決まれば必ず支払ってくれます。

好意同乗,無償同乗であったとき賠償額が減額される可能性

乗せてくれた運転者に,交通事故を起こした過失が認められる場合,同乗者は運転者に損害賠償請求が可能です。ただ,同乗者は運転者の好意で乗せてもらっている以上,運転の利益を無償で享受していると考えられます。よって無償の利益を得ながら,損害が生じたときだけ運転者に損害全部の賠償をさせることは不公平であると判断されることがあります。このように好意同乗者と判断されると,運転者に対する損害賠償額が減額されることがあります。

好意同乗は友人の送迎などが一例です。

好意同乗による賠償金の減額には議論があり,近年は好意同乗であったことのみで裁定を行うことはなくなってきています。同乗者に事故発生の責任を帰すことができるかという点が重要です。

同乗者に過失がある場合は損害賠償金が減額される

事故を起こした運転者が飲酒運転だと知っていた場合運転者が無免許・免停中・免許有効期限切れであると知っていた場合,同乗者の賠償請求金額は相当程度減額されることがあります。

事故を起こした運転者が速度超過・蛇行運転・信号無視等の危険運転をしていることを容認していたり煽ったりした場合,同乗者の賠償請求金額は相当程度減額されることがあります。

同乗者が運転者にしつこく話しかける,脇見をさせるなど運転の邪魔をした場合,同乗者が窓から身を乗り出していわゆる箱乗りをしていた場合など,事故の責任が同乗者に帰されると判断されるときも,同乗者の賠償請求金額が減額される可能性があります。

助手席・後部座席の同乗者がシートベルトをしていない場合で,シートベルトを着用していれば怪我の程度が軽く済んだと判断されると,同乗者に過失があることを認め相当程度賠償金減額となる可能性があります。

また同乗者に過失がある場合,事故の相手から同乗者が損害賠償請求されることもあります。この場合,同乗者,運転者,事故の相手の過失割合をどのように考えるかは難しい問題となり,事案別に判断することになります。大雑把な感覚としては,1?5割程度の過失相殺の可能性があるとみるべきです。

同乗者も弁護士費用特約を使える

弁護士費用特約とは,弁護士費用を保険会社が負担してくれる保険サービスです。同乗者本人が弁護士費用特約に加入している場合はもちろん,運転者が加入している場合や,同乗者と同居している家族が弁護士費用特約に加入している場合にも使えます。ただし,運転者が加入している弁護士費用特約を使って運転者に対して損害賠償請求することはできません。このようなこともあるので,基本的には運転者ではなく相手方に損害賠償請求していくことが多いと思います。

弁護士が賠償金の交渉をすることで,妥当な金額を勝ち取れる可能性が高まります。のちになって後悔することのないよう,交通事故事案に強い弁護士に交渉依頼すると安心です。弁護士は慰謝料請求について保険会社の提示額を前提としません。判例や知識・経験から依頼人の正当な利益を主張できます。損害賠償金について知識があるので,もらえるはずの補償がもらえていなかったという事態も避けられます。またもし訴訟ということになれば,弁護士がいなければ勝訴は難しくなると考えられます。

同乗者も事故の過失責任者に損害賠償請求が可能

交通事故の発生により車の同乗者が死傷した場合,事故の相手と,乗せてくれた運転者に対して慰謝料含む損害賠償請求が可能です。事故の相手と運転者双方に過失がある場合,同乗者はその双方に損害賠償を請求できます。不法行為者どちらにも全額の支払請求ができますので,資力のある方に損害賠償を求める現実的対応をしてかまいません。

事故の相手と,乗せてくれた運転者どちらかに過失がないならば,過失のない者に賠償請求はできません。 同乗者にも過失があると判断されると,損害賠償金が減額される可能性があります。

難しい示談交渉は弁護士に任せた方が有利です。弁護士費用特約に入っていれば,契約規定に従い弁護士費用は保険会社がもってくれます。 弁護士が賠償金の交渉をすることで,納得いく金額を勝ち取れる可能性が高まります。のちになって後悔することのないよう,交通事故事案に強い弁護士に交渉依頼すると安心です。

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