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追突事故に遭ったら知っておきたい今後のこと

成田 翼 弁護士
弁護士法人 エース
代表弁護士成田 翼
所属弁護士会第一東京弁護士会

追突は,最も多い事故類型

交通事故で最も多い事故類型は、追突です。警視庁の調査によると、人身事故では交通事故のうち約4割が追突に分類されています。実際に、私たちの交通事故相談に来られる方の中でも最も多いのが追突被害の方ですので、信ぴょう性のあるデータだと思います。

追突事故の3つの特徴

追突事故には、①原則として過失割合が0対100、②衝突予測がされないことが多い、③玉突き事故で被害拡大しやすいという特徴があります。それぞれ、交通事故の損害賠償における実質的な意味合いを説明します。

追突事故3つの特徴

過失割合

追突というのは、通常、停止している車両の後方から別の車両が突っ込んでくるものであるので、過失割合について0対100とされることがほとんどです。交通事故の場合、一般的な感覚では被害者に落ち度はないとされる事故類型の場合でも過失相殺といって被害者側に一定程度過失割合が認められることが多いのですが、追突の場合にはさすがどうやっても避けようがないので、被害者側に過失が取られることはまずありません。

例えば、優先道路を直進走行中に側道から出てきた車両と衝突したような場合でも、優先道路直進車に原則として10%の過失があるとされます。

ただし、急減速して追突されたとか、駐停車禁止場所で追突された、シートベルトを着用していなかったために被害拡大したなどの場合には被害者側が過失相殺されることはあります。

交通事故の損害賠償では、争点が数多くあり、過失割合というのもよく争点化される分野ですので、ここに争いが生じにくいというのが実質的な意味合いになります。これは、損害賠償の請求をする側にとってもされる側にとっても、思っている以上に重要なポイントです。

衝突予測の困難さ

追突では、他の事故類型と異なり、衝突の瞬間まで衝突可能性が認識されないことが多いといえます。他の類型であれば、通常は加害車両が視覚に入った時点で「危ない」とか「ぶつかる」などの予想ができますが、追突は、バックミラーをたまたま見ていたとかでもない限り、突然衝突されます。

そうすると、どちらからといえば被害は拡大する方向に働きます。「危ない」とか「ぶつかる」という認識が一瞬でもできたとすると、体は反射的に身構えます。この身構えるという体の作用は、思っている以上に衝撃に対する防御力を高めます。追突では、この身構えるという作用が発生しないためにいわば防御力0の状態でその衝撃を受けることになります。

これによって、比較的低速の追突であってもむち打ち症状が発生することがあります。一昔前は、ある速度(閾値)以下の追突では人間が怪我をすることはないという閾値論が多くの実験結果に基づく科学的な考え方だとされていましたが、現在では、そのような考え方は取られていません。

人間が怪我をするかどうかは、追突の速度だけでは判断できないというのが現代的な考え方です。とはいえ、追突速度と怪我の程度はある程度比例関係があるというのが一般的な感覚でしょうし、交通事故の損害賠償の場でも、そのような感覚は生きています。そのため、ほとんど物損が生じていないようなあまりに軽い追突の場合には、傷害事実自体が否定されることもありますし、治療期間としても数週間程度の短い期間しか認められないこともあります。

ただ、追突されむち打ち症状が出た場合の多くのケースでは3ヶ月程度の通院治療は許容されています。むち打ちというのは、一進一退を繰り返しながら改善していくものであり、一定程度の期間はその様子を観察しておかなければ、治ったかどうかという判断が難しいからです。これはこれまでの交通事故損害賠償の代理人の経験からになりますが、むち打ちになられる方の治療期間としては、大枠、数週間、3ヶ月、6ヶ月、それ以上と分類できるのではないかと思います。

交通事故損害賠償との関係では、6ヶ月が1つの目安とされており、これ以上に長い治療期間は裁判で争われると交通事故との因果関係が否定されやすい傾向にあります。裁判所としては、6ヶ月通院しても治癒しないのであれば、後遺障害として評価すれば足りると考えているのかもしれません。他方で、後遺障害については、自賠責調査事務所の判断がとても重要なのですが、6ヶ月未満で治療が終了している場合には、後遺障害等級の獲得は難しいことが多いです。

特にむち打ちの治療を5ヶ月もいかないで症状固定として後遺障害等級申請をしても、まず等級獲得は見込めません。先ほども述べたように、むち打ち症というのは一進一退を繰り返しながら徐々に回復していくものであるため、少し良くなったかなと思っても、すぐに治療を終了せずに継続していくことが、治療という意味でも重要ですし、損害賠償という意味でも重要だということになります。

玉突き事故

追突事故は、被害車両が停止中に発生することが多いことから、勢いよく追突された場合には、追突された被害車両がそのまま更に前方の車両等に追突するという玉突き事故が起きやすいという特徴もあります。

この場合、被害者の数がその分だけ増えることになります。もちろん、最初に衝突された被害車両の運転手の方には、完全に停止していた限り、前方車両に衝突した(させられた)ことについて落ち度は全くありませんから、最初に追突した車両の運転手や持ち主が全て損害賠償責任を負います。

玉突き事故の場合、上で述べたような、衝撃度の関係で、直接追突された車両の被害者が一番衝撃が重いので症状も重くなるはずだと考えられることが多いのですが、必ずしもそうではないこともあります。

そのため、直接追突されていない被害者からの損害賠償請求の際に、加害者側から、「直接追突した側の被害者はもう治療が済んでいるのに、そんなに重症になるはずがない」という主張がされることもあります。これは、一般感覚には沿うものであり考え方の出発点としては間違っているわけではないのですが、衝撃力だけで怪我の程度を全て把握できると考えているのであれば誤りです。玉突き事故の先頭車両の被害者となった場合で、直接追突された人よりも症状が重い場合には、上記を踏まえて適切な主張をしていく必要があります。

なお、ここまでは追突事故による怪我で最も多いむち打ち症を前提に話をしてきましたが、比較的小さな自動車に乗っている時に大きな車に追突され、前の車も大きな車であったような場合には、挟まれた車両が押しつぶされ、運転手などが骨折してしまう場合や死亡してしまうという痛ましいケースとなる場合もあります。玉突き事故の場合は、間に挟まれた車両に乗車していた方は少なくとも2回の衝撃を受けることになるので、ただ追突された場合に比べると、重症化しやすい傾向にあるのは間違いありません。

追突事故の慰謝料は?

実は、交通事故損害賠償の中では、事故類型によって原則として慰謝料に違いはありません。

交通事故損害賠償の慰謝料は、傷病の種類と治療期間、そして後遺障害の程度で決められています。詳しくは、別コラム(「交通事故損害賠償の慰謝料の全てを解説!」)で説明していますので、是非そちらもご覧ください。

ここでは、追突事故の中で、傷病名としては頚椎捻挫や腰椎捻挫といったむち打ち症で、6ヶ月治療をし、後遺障害14級を獲得した場合を考えてみたいと思います。

追突事故の慰謝料ケース

まず、交通事故損害賠償の慰謝料は、2つの慰謝料に分けられます。入通院慰謝料(傷害慰謝料)後遺障害慰謝料です。

前者は、交通事故により傷害を負って入院や通院をしなければならない精神的苦痛に対する慰謝料、後者は、交通事故によって後遺障害が残ったことに対する慰謝料です。いずれの慰謝料についても裁判所は基準を持っており、それによって慰謝料額は定まります。

上記ケースの場合、入通院慰謝料(傷害慰謝料)は、89万円、後遺障害慰謝料は110万円です。なお、交通事故の損害賠償は、慰謝料だけでなく休業損害や逸失利益も含まれますので、上記ケースではこれらの慰謝料の他に休業損害や逸失利益が加算された金額が損害賠償額として被害者が受け取れる金額ということになります。

後遺障害慰謝料については考え方は比較的シンプルで、自賠責調査事務所が認定する後遺障害等級ごとに裁判所は基準を持っています。追突事故で最も多い症例であるむち打ち症でいえば、後遺障害等級は、非該当、14級、12級のいずれかとなります。非該当というのは後遺障害ないという認定ですから、後遺障害慰謝料は当然0円です。14級の場合には110万円、12級の場合には290万円です(大阪地方裁判所等一部の裁判所はこれと異なる基準を用いていますが、大きくは変わりません。)。

入通院慰謝料(傷害慰謝料)については、赤い本という交通事故損害賠償のバイブルのような本に掲載されている別表というものを用いて算定されています。以下に同じものを引用します。

図挿入

表の見方を簡単に説明しますと,まず,怪我の種類によって別表Iを使うか別表IIを使うか判断します。その怪我の症状について他覚的所見がある場合には別表I,ない場合には別表IIです。他覚的所見とは,例えば画像所見のように客観的にその症状を裏付けられる所見のことをいいます。

頚椎捻挫や腰椎捻挫といった,むち打ち症の場合,原則として他覚的所見がないので別表IIを使います(むち打ち症でもMRI等によって他覚的所見がある場合には別表Iを使います。)。他覚的所見がある場合には,むち打ち症でも後遺障害等級12級が認定されますので,12級認定されている場合には別表I,14級や被害等の場合には別表IIと理解しておけば間違いではありません。

追突事故でも弁護士に依頼すべき?

交通事故の被害にあった方の多くのケースでは,弁護士に依頼する方が受け取れる損害賠償金額は上がります。

これは,保険会社は被害者の見方ではなくあくまでも加害者側(賠償者)側の示談代行を行っていることからすれば当然のことです。まず窓口になってくれる保険会社を頭から信頼して,保健会社が提示してくる金額を妥当なものだと思うのは危険です。

これは,追突事故に限ったことではありませんが,依頼するにしろしないにしろ,まずは弁護士に相談されることをお勧めします。弁護士法人エースでは,交通事故に精通した弁護士が無料相談で対応します。無料相談とはいえ,しっかりとポイントを押させて充実した相談と好評ですので,まずはお気軽にお問い合わせください。

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