交通事故相談なら弁護士法人エース傷病別解説高次脳機能障害の方

高次脳機能障害の方傷病別解説

交通事故で、主に認定される後遺障害を紹介します。

交通事故で、
主に認定される後遺障害を紹介します。

高次脳機能障害の方

高次脳機能障害とは?

高次脳機能障害とは、脳に器質的な損傷が生じることに伴い生じる様々な障害をいいます。「高次脳機能」とは、厳密には性格が変わってしまったり、感情のコントロールができなくなったり、記憶障害が生じたり、注意力や注意力が不足するようになったりすることを想定した言葉ですが、一般的には身体機能の一部に麻痺や運動障害を伴うことが多いです。

自賠責保険では、事故直後の意識障害、脳の器質的な損傷、高次脳機能障害特有の症状の3つを重視して高次脳機能障害を後遺障害認定しています。脳の損傷は一般的に今の医学では回復させることはできません。つまり、障害は一生続くと考えなければなりません。つらい現実ですが、これを前提に加害者に請求する賠償請求をする必要があります。日常生活や仕事への影響も大きく、被害者やご家族への精神的負担、経済的負担は甚大です。

高次脳機能障害となったら

高次脳機能障害は、脳の器質的な損傷に伴い生じる障害です。そして、先ほど述べたとおり、高次脳機能障害による症状は一生続くと考えなければなりません。つらい現実ですが、これを前提に加害者に請求する賠償請求をする必要があります。現在では、自動車の運転者は無制限の対人賠償保険に加入していることがほとんどであり、事故直後から保険会社が介入し、治療費や一時的な生活費等を支払ってくれることが一般的です。

しかし、保険会社も営利企業ですから、支払の総額をなるべく少なくしようとしてきます。高次脳機能障害は、その症状が日常生活や労働能力に直結すること、周囲への精神的負担や経済的負担も大きいことから、賠償額が大きくなることが通常ですので、加害者側である保険会社の提案が法的に適切なものであることはほとんどないと言ってもよいと思います。いろいろな理由をつけて支払の金額を下げようとしてくることが一般的です。軽いお怪我であれば、納得できることもありますが、非常に障害が重い場合は今後の生活がかかっている以上死活問題となりますので、やはり弁護士に依頼して後遺障害等級と賠償請求を任せるべきでしょう。

賠償額の決定に際しては自賠責保険に後遺障害の有無やその程度を判断してもらう必要があります。高次脳機能障害の程度の決定方法は一般的には自賠責保険に対して被害者側が直接請求するか(一般的に「被害者請求」あるいは「16条請求」といいます。)、加害者側の任意保険会社に自賠責保険に照会をかけてもらう(一般的に「事前認定」といいます。)という2種類の方法があります。この説明でもお分かりだと思いますが、事前認定は加害者側の保険会社が行う手続ですので、わざわざ懇切丁寧に必要な資料を集めたり、検討したりしませんし、そもそもどのような資料を自賠責保険に提出したかもわかりません。高次脳機能障害のように重い障害の場合、提出する資料の精査はしっかりする必要がありますから、弁護士等の専門家を通して被害者請求で適切な後遺障害等級の獲得を目指すべきです。


賠償のポイント

ポイント1

認定に必要な3要件

高次脳機能障害の認定では、事故直後の意識障害、脳の器質的損傷、そして高次脳機能障害特有の症状という3つの要件が必要となります。事故直後の意識障害は脳の器質的損傷については医師が記録した客観的な記録により、比較的その有無が明らかです。しかし、その症状については、かなり争いが生じやすいといえます。といいますのも、例えば、性格が変わった、怒りやすくなった、注意力が散漫になって忘れ物等が多くなった、記憶力がとても落ちた、等は事故前との比較によって初めてわかるものですから症状の証明方法や、それを高次脳機能障害とどのように結びつけて説明するのかという点はかなり専門的な知識が求められます。

ポイント2

周囲の協力

主治医にも知能検査を始めとした検査や診断書を作成していただくのですが、やはり事故前にも、また事故後も毎日被害者の方と関わりのある方の認識も重要です。日常生活における支障や困難を経時的にまとめておくということも大切です。特に、小さいお子さんの場合はまだ成長の途中ですから、性格の変化や集中力・注意力の変化について、それが事故に起因するものなのかどうかが第三者から明確ではないということもあります。また大人よりも回復力に優れていますから、どの時点を症状固定時として後遺障害等級の認定手続を行うかも慎重に検討しなければなりません。治療期間が長期になれば損害賠償請求権の消滅時効に対するケアも必要となるでしょう。

ポイント3

等級の判断方法

実は、自賠責保険がどのように後遺障害等級の程度を認定しているのかは、必ずしも明らかではありません。ですが、一般的に自賠責保険は労働災害における後遺障害等級の認定方法を準用しています。ですから、弁護士法人エースでは、自賠責保険の認定を受ける場合、労災の認定基準を根拠に医療記録やご家族が作成した資料に基づく事実を当てはめて、妥当と考える等級を主張していくということを行っております。例えば、高次脳機能障害の等級の程度は、意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力・持久力及び社会行動能力の4つの能力がそれぞれどの程度失われたかどうかにより決せられますが、「神経系統の障害に関する医学的意見」や「日常生活報告書」という資料の各項目と程度を、法的な観点から各項目に当てはめ、それがどの程度失われ、その結果どのような等級が妥当するか等を検討しています。

ポイント4

被害者本人へのケア

少々特殊な場合ですが、高次脳機能障害においては本人が自分に障害があることが理解していない、あるいは理解しようとしないという特別な事情があります。特に麻痺や運動障害が伴っていない場合で日常生活や仕事に大きな支障が生じていないけれども、ご家族からみると、怒りっぽくなったり、嗜好が変化したり、変化が明らかであるという場合です。被害者ご本人が障害を認めずに高次脳機能障害の認定に必要な資料の作成を拒否したという事例もあります。これは後遺障害が認定されてしまうと仕事へ影響があるという事情もありましたが、ご家族が医師と弁護士と協力する等してご本人にしっかりと説明をしなければなりません。


軽度外傷性脳損傷(MTBI)

脳に器質的な損傷がない場合であっても(厳密には医学的な検査で発見できない場合であっても)、高次脳機能障害と同じ症状が生じることがあります。これは一般的には軽度外傷性能損傷、いわゆるMTBIと呼ばれています。
自賠責保険は、その運用上MTBIを後遺障害として認定しません。また裁判所もその認定には慎重であり、なかなか明示的にMTBIを認定してくれることはありません。